ここ最近暗い顔をしていた私のために、おそらく母が買ってきたのだろう。
普段から優しく、しっかり者のする心遣いはその意図とは裏腹に私の心を揺らした。
心配されることへの苛立ち、期待される恐怖として湧き上がる感情に私は冷蔵庫のドアを強く閉めた。
暗闇に浮かぶ心を覗くと、負の感情を繰り出した自己への嫌悪がうずまいている。
反抗期が遅れてきたか、と自嘲してみてもそれは消えず、嫌いな自分がさらに増えるばかりだ。
そうして安易な自己嫌悪の螺旋を昇ったみても、何にもならないことはもう知っている。
けれどそこから飛び降りたとして、甘いりんごジュースの海に着水できるの?
そんなことばかりを思いながら、明日になるまで夜を過ごした。