2ヶ月ぐらい前になるだろうか。土曜日の早朝だった。
その頃はまだ気温も高く、引っ越したばかりの近所をランニングして、色々楽しむことにしていた。
早朝の街は息吹を感じさせる前で、人もいなくただ晴れて、霞が弱冠かかる絶好のランニング日和だった事はよく覚えている。
特にハレのイベント等は人集めもあるだろうし、それが行われることが多いというのは、街を出歩いている中で感覚的に僕の人生の中で記憶していた事だった。
目の前に2人の男女が歩いていた。
一人の男性は頭に帽子を被り、もう一人は女性のようでヒジャブを被っているのは後ろからも姿がよく分かる。
ちなみに彼らは「珍しい」人達ではなかった。僕の街では当たり前にいる構成員である事は知っていた。
彼らの衣装は普段のそれではなく、恐らく結婚式の参列者として出かけるスタイルだったのはすぐに見てとれた。
早朝の街は僕と彼ら以外、誰も歩いていなかった。彼らは後ろから走ってくる僕に気づかなった。
彼らは手を繋いでいた。