「この子を殴ったんだな」
殴った年老いた男は大きな男に捕らえられている。
捕らえている大男がここぞとばかりに力を入れて老いた男を押さえつけているので、老いた男はとても苦しそうだ。
「弱い者いじめは最低だ 殺せ」などとそれを囲んでいる者たちは言っている。
殴られた子は可愛い顔をしていた子供だった。殴られた時は泣いていたが、今は元気そうな顔をしている。
多くの人がこの子の味方について、殴った老人をボコボコにしているのだった。
何が弱い者なのかよくわからない。
こんなものを見ていても仕方がないので、家の方に向かって歩き出したら潰れた様な顔をした小太りの中年男性が血まみれになって倒れていた。
すると中年男性は「あいつが殴った」と老人を抑えている大男を指差した。
「あの男には何かしたのか?」
「ただいるのが気に食わないらしくて、自分は殴られたんだ」
「あの周りの奴らは何もしなかったのか?」
「あいつら、自分のことは無視をして、可愛い顔をした子供だけは徹底的に守るんだ」
日が暮れそうになっていた。
ホカ弁を買って家に帰ろうとすると、それまた酷く醜い姿をした天使が羽を毟られた状態で倒れていた。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないよ。。。」
「なんでこんな風に 誰がこんなとをやったんだ」
「知らない人たちに。妊婦に近づいたら、お前は妊婦を怖がらせるって。。。」
「もう翼がダメになっているじゃないか もっと早く見つけていれば」
嗚咽が聞こえた。
道行く人はこの天使を見て見ぬ振りをしていたのだった。
殴られた子は可愛い顔をしていた子供だった。殴られた時は泣いていたが、今は元気そうな顔をしている。 この一文で増田は子供が大人に殴られるということの恐怖も痛みもまったく...