俺はそのとき、誰もいないからいいか、と思って椅子の上に寝転がっていた。
乗ったばかりの時は何でもなかったが、だんだん様子がおかしくなってきた。
「いいの!もういいの!」
何がいいんだ。わけ分からん。
そしてだんだん激しくなってくる。
「もういいー!!もういいのーーーーー!!!いいいいーーーーーーーー!」
持っていた空き缶をぐちゃぐちゃにし始めた。
もしかして俺が寝転がっているのが、こいつを刺激しているのか?と思い普通に座った。
刺されるかもしれないから、すぐに動ける体勢にしたというのもある。
それでもそいつは変わらなかった。
「いいいーーーーーー!!!!!!!!!キィーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
「いいの…もういいの…」
車掌さんは「いい」と言われたので去って行った。
そしてまたおかしくなっていった。
空き缶をバリバリ言わし、キィキィ言っている。
隣の車両に逃げたかったが、追いかけてきたらどうしようかと思いできなかった。動いたらこいつを刺激するかもしれないし。
怖くて固まってしまい動けなかったというのもある。
散々暴れたあとそいつは降りて行った。
何もない山の中の駅だった。あの女は何者だったんだろうか…