そこに、Dさんが現れて、Aさんに10万円を渡して「これで借金を返しなさい」と言いました。
10万円を得たAさんは喜んでBさんに借りた10万円を返しました。
10万円を得たBさんは喜んでCさんに借りた10万円を返しました。
10万円を得たCさんは喜んでAさんに借りた10万円を返しました。
10万円が戻ってきたAさんは、Dさんに借りた10万円をDさんに返しました。
あれ、不思議ですね。誰も1円も損していないのに、全員の借金が無くなって、ハッピーになったのです。
Dさんは、10万円を受け取らずに、Aさんに言いました。
「いいから、これを使って、何か買い物をしなさい」
Bさんは商品を作って、Aさんに納め、10万円を受け取りました。
10万円を手にしたBさんは、Cさんの店に商品を注文しました。
Cさんは商品を作って、Bさんに納め、10万円を受け取りました。
10万円を手にしたCさんは、Aさんの店に商品を注文しました。
Aさんは商品を作って、Cさんに納め、10万円を受け取りました。
10万円が戻ってきたAさんは、Dさんに借りた10万円をDさんに返しました。
不思議ですね。トータルでのお金の量は変わってないのに、全員が欲しかった10万円相当の商品を手に入れて、よりハッピーになったのです。
世の中にお金が回るだけで、どんどん新しい価値が作られて、増えていくのです。
「この世にお金なんてものがあるから、お金のために人間は悪いことばかりをするようになった」というようなことをよく言われますが、お金には、良くも悪くも人間を動かす機能があるということなのです。
それを生産的な方向に働かせるのが、経済というものの役割なのです。
こんな基本中の基本のことを、世の中、驚くほど誰も知らない(教えてもらってない)ですよね。
(偉そうにかく言う私も、30歳過ぎまで知らなかった。)
「経済成長なんかしなくていい!」とのたまう連中の大半は、こういうことを知らない人々ではないでしょうか。
経済成長とは、上記のように「お金が回ることで、新たな価値創造が起きている」ということであって、真っ当な経済状態ならプラスになって当然なのです。(マイナス成長というのは相当ヤバイことなのです。)