「ココの先生方っておじいちゃん予備軍ばっかやん」という用務員さんの指摘は、きわめて正しい。まろうさんが卒業した学校のみならず、その系列校も同様である。新しい技術を習得するために必要となる時間は、年齢とともに増加する。カリキュラムも、高齢の教員が多いという条件を考慮に入れて策定されるため、時代の要請に応じうる理想的なカリキュラムとの懸隔は大きくなる一方である。
したがって、この学校に入学した学生の多くは、まろうさんのように後悔を味わうことになる。しかし、学生が入学しなくなればそれで問題が解決する、ということにはならない。学生が入学しなくなることは、廃校となって教員が路頭に迷うことを意味するからである。教員は、犠牲となる学生を必要としているのである。かわいそうではあるが、教員が生計を維持するため、これからも多くの学生に入学してもらわなければならない。