2011-05-18

 

目を開けたら見慣れない天井

瞬間、体全体に激痛が走る

何故私はここにいるのだろう

記憶の糸を手繰り寄せてみる。…だめだ。思い出せない

 

幾日かが過ぎた

私の枕元で泣きむせぶ母親

父親は、心なしか白髪が増えているように見える

 

さらに何日も過ぎた頃

スーツ姿の小柄な男が私のいる病室に入る

見慣れた分厚い眼鏡をかけて、手には花を持って

「・・・・・」

私に向けて、何かを言う。でも聞き取れない

懐かしい感じがする。でも、嫌な感じもする

「・・・・・」

誰なのか、分からない。思い出せない

からないはずなのに、心に浮かぶのは、黒いもやもやした何か

無言

記憶の糸を手繰って、そして。

 

貴方なんか、知らない

あなたはなぜ、私に会いに来たの

私を置いて、行ってしまったのではなかったの?

もう、      。

「・・・・・」

最後に見たのは、悲しげに顔を歪ませた貴方の顔

もう、終わったんだ。

 

心が、疲れてたんだ。悲しかったんだ。

あっという間の出来事だった

痛みは一瞬あった。でも、そこから記憶がない

私の手も、足も、その時に置いてきたんだろう。

 

彼は明日郷里に帰る

長い距離を、わざわざ時間を作って、逢いに来てくれたんだ

それを知っただけでも、充分だよ

 

忘れたふりして、ありがとうさよなら、の言葉

もう、貴方と会うことはないでしょう

私は忘れていて、思い出した

貴方は覚えていて、これからは忘れる番。

 

どうか、元気で。

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