2019-11-19

同い年の同期が死んだ。

ほとんど話したことはない。人づてに陽気な人だと聞いていた。就職して10年にも満たない。まだまだ楽しいことがたくさんあっただろうに、可哀想に、と思うより早く、羨ましいと思った。

死にたいわけではない。ただ、これから先 味わうであろう苦しみを、彼は経験しなくて済むのかと思うと羨ましかった。

毎日毎日、働いて、休日は疲れで寝てばかり。何かをする気持ちも体力もない。

昔はワクワクしてたんだ。毎日が旅の始まりのように。図書館書店映画館も、レンタルショップだって、ただ誰かと道を歩いているだけだって

「これじゃあ、金も時間も足りないな」って贅沢な絶望をしていた。

今はどうだ。あの頃 読みたいと思っていた本なんてほとんど読んでいない。なのに、書店に行っても全く心が揺さぶられない。

「いつの間に渇れていたんだ」と絶望した。

苦しみがあれば楽しみもあるだろう。苦しみがあっても楽しみがあれば乗り越えられるだろう。

だけど、楽しみがないんだ。楽しめる心がなくなってしまったんだ。

あの頃は、死んだ人間を羨ましがるなんて思いもしなかった。もう一度、子供のころのようにワクワクしたい。何気ないことに眼を輝かせたい。

苦しみなんて簡単に受け入れられるくらい。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん