春になると嫁さんとそのお母さんと連れ立って河川敷によもぎを採りに行く。
なんでも肌の乾燥に効くということで、子供がまだ赤ん坊の頃に肌荒れが多かったからとよもぎ湯に入れたらよくなったそうだ。
それが去年の春にまた子供の肌荒れが目立つからと、近くの河川敷で大量によもぎを採取しては煮だして乾燥させ、それを袋に入れて風呂に浮かべるようになった。
肌荒れが治ってからも毎日のように入れ続け、結局1年間よもぎ風呂に入り続けたことになる。
ところが今年になってからというもの、息子は5歳にもかかわらず花粉症に苦しみ始めた。
ここですぐに因果関係を疑うわけではないのだが、茶の葉石鹸のときもしかり、体外から侵入を試みる成分を免疫が過剰反応するというのは科学的に立証されているアレルギー発生のプロセスといえるわけだ。
煮沸消毒しているとはいえ、それそのものが持つ成分が消えるわけではない。
さらに5歳ともなれば毎日のように膝小僧やらに傷をこさえて帰ってくる。
それなのに風呂に余計な成分を入れるというのは、どうしてもはばかられてしまうのだ。
かなりの田舎から出てきた嫁の母親は、そうした旧態然とした知識を時折披露しては、嫁が妄信的に従うということがよくある。
「体外から入ろうとした成分を免疫が過剰反応してアレルギーの原因になるらしいよ」
その一言を言えば、強い剣幕で「だったら子供が肌荒れで苦しむのを指くわえて見ていればいいの?」と反論されることは目に見えている。
今年もまた山のように河川敷のよもぎを採取しては、1年間それが入った風呂に子供を入れ続けるのだと考えると憂鬱で仕方がない。
どうすれば止めさせることができるのだろう。
本当に誰か助けて欲しい。
要するに肌荒れを無くせばヨモギに入れなくていいんだろ?