集団Aの賢い人が集団Bの馬鹿な人を、集団Bの賢い人が集団Aの馬鹿な人を取り上げ、「集団Bはこんなに馬鹿だ」「集団Aはこんなに馬鹿だ」と言い合う。
…そんな、「賢い人々」が「馬鹿な人々」を馬鹿にするだけの牧歌的な時代は、既に終わりを告げた。
いま展開されているのは、集団Aと集団Bの内部においてそれぞれに「賢いリーダー」と目される者同士が、「あいつは馬鹿だ」「何も分かっていない」と殴りあう地獄インターネットだ。
「あの人は博識だし、冷静だし、物事を鋭く分析して、分かりやすく説明してくれて、FavもRTもばんばん稼いで、みんな彼に一目置いているなぁ」
…なんて人が。
そういう人でさえ、別のクラスタから「知識も知能もない頭のおかしな馬鹿」扱いされてしまうのが、いまのインターネッツだ。
あれほど賢い人たちが、歩み寄ることも理解を示すこともせず、醜く殴りあってしまう。
たとえば、戦国時代のことに詳しいと思われているAさんが、別のクラスタではデマまみれの馬鹿だと嫌われている。
たとえば、野球のことを分かりやすく解説してくれることで人気のBさんが、別のクラスタではドシロウトと笑われている。
たとえば、アニメ評論家として多くのフォロワーを抱えるCさんが、別のクラスタではアニメのことを何も分かっていないと叩かれている。
Aさん、Bさん、Cさんが本当に馬鹿なのかは定かではない。
我ら愚者はただ神々の争いを見守るのみだ。