子供の頃に「片思いはいけないことです」って教わってさえいれば、
これまでの数々の悲劇は全て起こらなかったはずなのに。
あんな目で見られなくても済んだはずなのに。
小6で同じクラスだった高見、高校の吹奏楽部のめぐ(一度もこう呼べなかったけど)、大学で英クラが一緒だった朋ちゃん、サークルの後輩のりーさ、前の会社の先輩の吉岡さん、そしてその度に気を遣わせてしまった周りの人達、本当にごめんなさい。俺は片思いしてる自分に酔ってたみたい。本人や周りの迷惑なんて考えずに、ゴールを信じて恋愛小説の主人公みたく突っ走ってしまった。あの時の吉岡さんの表情は一生忘れられないだろう。サークルでりーさが俺のことを周りに相談しまくってるって聞いた時の、冷や汗が吹き出たあのイヤーな感じも、心から消えることはないだろう。俺のおかげで、あの子は自分の魅力に気づけたかもしれないなんて、あの時は本気で思ってしまってた。なんでわからなかったんだろう。なんで同じ失敗を繰り返してしまったんだろう。なんで俺はこんなに気持ち悪い人間なんだろう。