たとえばゼロ金利解除を匂わせたりして、海外の人が通貨円を買う量を増やせば円高に働く。
しかし、通貨とは特殊な形の中央銀行の債務、広義の政府の発行する国債の一種である。
つまり、海外の人が円を買うというのは海外から借り入れをしていることになる。
日本国債・通貨円が相対的に海外からより多く買われる=海外からの純借り入れ増加=経常黒字(貯蓄超過)の抑制
と結ばれるのである。円高になればこれまでより多くの輸入が可能になるという考え方は、
個人が銀行から借金をすればこれまでより沢山の消費が出来るようになると考えるのに等しい。
そして、借金をすれば金持ちになって裕福な人生を送れるというのが間違っているのと同様に、
円高になれば日本が資産力をつけ購買力を高めた、それで内需が拡大出来る、という考え方も間違っている。
借り入れは所詮はいつかは返さないとならないものである。いつかは海外の人が円で何かを買う。
消費や輸入もそれを見越した量しか出来ない。円高で内需拡大は無理な相談なのだ。
それどころか、円が買われるという通貨による借り入れは返済要求が集中する危険もある。
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