2012-08-23

ただの終わり

ただただ寝転がり、動かずに居た。顔の筋肉が弛緩しているのか緊張しているのか、顔全体に妙な熱っぽさと突っ張りを感じる。枕にしていた腕の指先を軽く握ってみると、ついさっきまでその指先が動くことを忘れていたことに気付く。

世間の人は――彼女は、普通に日常を過ごして、そして恋をしていただけだ。

遙か昔に告白して振られ、その片想いを独り腹の中でこじらせたまま友人になった俺のことなど、構う謂れもなく。

「気付いてないかも知れないけど私だって彼氏いるんだからね」

あれ、スマホに替えたの言ってなかったっけ。そんな軽い語調で伝えられた、ただの事実

拒絶すらされない。

遙か昔に告白し、断られた。彼女にとってはそこで終わり、その後の俺はただの友人でしかない。

彼女が次の恋をしていて、それを知らせてくれれば、俺だって次の恋に。とか考えてみても、彼女が俺にそんなことを伝える義務も、いや彼女にはそんな発想も無いだろう。

この世に彼女幸せがあるならそれで良い、と自分に言い聞かせても、やっぱり一番の望みはその相手が俺である事だった。

けれどそのための努力方法なんて知る術もなく。そもそも俺は彼女のほんの一面しか知らなかったわけで。

やっていたことは遙か昔に彼女から貰った言葉幻想妄想で糊塗してしがみついていただけで。

こんな現実を突きつけられた時には泣き叫ぶ、喚き散らすと思っていたが。

実際に蓋を開ければただの虚脱。

死のう、なんてことは思わない。

けど、ただベッドに身を横たえたまま、眠っているうちに朽ちて逝ければ良いなあ、なんてことは思う。

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