物には思い出がある。それが障害になることもあった。
写真や手紙には強い束縛が残っている。もうその時には戻れないのに、見える形として保存してしまう残酷なものだ。
津波で全てを失った人は、唯一残ったアルバムに思いを寄せたことだろうと思う。
私は全てを失ったわけではないし、そういった思い出を大事にする人間でもなかったが、
今回の掃除では流石に躊躇ってしまった。小学生の時、友達からもらった多くの手紙、記念写真、趣味で集めたコレクション、
自分自身を変えていくために過去(モノ)を捨てないといけない、と強く思ったのは失恋のせいだった。
連絡先を削除したことから始まり、いつしか自分の身辺整理にまで及んだ。今まで手の付けられなかったモノにまで、
はっきりとした嫌悪感を覚えたのは初めてのことであった。物に思い出を託すぐらいだから、そもそも大切ではなかったのだと思う。
年月が過ぎ、価値観も変わった。いつまでも同じようには生きられない。
いじめの加害者もこんな感じかしら