2024-10-17

ぐりとぐらと 分断された せかい

あるひ、ぐりと ぐらは ひろい もりの なかを あるいて いました。ふたりは いつも どおり、おおきな なべを かつぎながら、きょうは どんな パンケーキを つくろうかと はなしていました。

でも、もりは いつもと ちがいました。いたるところで どうぶつたちが さわいでいて、ひどい ことばを いいあっていました。

キモい!」

「おまえとは ちがう!」

「なんで そんな ことを するんだ!」

みんな スマホにらみながら、たがいに いじわるな ことばを なげつけています

ぐりと ぐらは びっくりして、こまりました。

「どうして みんな、こんなに おたがいを きずつけあっているんだろう?」

「このままでは、だれも しあわせに なれないよ……」

そのとき、ひとりの ことりふたりに ちかづいてきました。ことりは 目に なみだを ため、ふるえていました。

「ぐりと ぐら、ぼくは『キモい』って いわれて、もう だれとも はなしたくないんだ……。なんで みんな ぼくの ことを そんなふうに いうの?」

ぐりと ぐらは ことりを みて、かなしく なりました。

「そんな ことばは つらすぎる……。ぼくたちで なんとか しよう! みんなが わかりあえるように なるといいな。」

ふたりは どうぶつたちが なかなおり できるように、大きな パンケーキを つくることに しました。

「みんなが いっしょに たべれば、きっと こころひとつに なるはず!」

ぐりと ぐらは せっせと ざいりょうを あつめ、パンケーキの したくを はじめました。でも、どうぶつたちは、パンケーキを みても ちかづこうと しませんでした。

パンケーキなんて どうでも いいよ!」

「おまえなんかと いっしょに たべたくない!」

ひとりひとりが スマホに しがみつき、おたがいを みることも、はなしあうことも なくなって しまいました。

ことりは ふたたび、しょんぼりと いいました。

「ぼくは もう、だれとも はなしたく ないんだ……。ずっと ひとりで いるのが らくなんだ。」

ぐりと ぐらは ことばを かけましたが、ことりは そのまま とびたって いきました。

それでも、ふたりあきらめず、おおきな パンケーキを つくりつづけました。でも、パンケーキが できあがっても、だれも たべに きませんでした。

「どうして……」

「みんな、もっと しあわせに なれるって おもったのに……」

ぐりと ぐらは、しずかに たたずみながら、まだ あつあつの パンケーキを みつめました。

もりの なかでは まだ、だれも たがいを みることなく、いじわるな ことばを なげあいつづけていました。

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