「タラオの秘密知りたくないか?」
そう言って、男はビルとビルの間の路地へ歩いていった。
俺は男の言葉を理解するのに数秒かかった。
タラオというのはあのタラオのことか。サザエさんのフグ田タラオ。
聞き間違いとすると何が考えられるか。タラ尾、タロオ、何にしても見ず知らずの男に話しかけるのはおかしい。
まともではない。危険だ。危険人物だ。ついていく必要はない。
それにタラオにしろ何にしろ秘密など知りたくない。タラオがどんな変態性欲者だろうと関係ない。俺はタラオとは無関係の人生を生きている。
だから、ついていく必要はない。ついていってはいけない。
だが、万が一、億が一、とんでもない秘密だとしたら?
タラオのとんでもない秘密が待っていたとしたら?
そう考えていると男の姿はもう見えなくなった。
今になってはっきり思う。
俺は知りたい。
知りたくてたまらない。
タラオの秘密を教えてくれ。
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