2021-06-28

見知らぬ男が肩をポンポンと叩いて耳打ちしてきた

タラオの秘密知りたくないか?」

そう言って、男はビルビルの間の路地へ歩いていった。

俺は男の言葉理解するのに数秒かかった。

タラオというのはあのタラオのことか。サザエさんフグタラオ。

聞き間違いとすると何が考えられるか。タラ尾、タロオ、何にしても見ず知らずの男に話しかけるのはおかしい。

まともではない。危険だ。危険人物だ。ついていく必要はない。

それにタラオにしろ何にしろ秘密など知りたくない。タラオがどんな変態性欲者だろうと関係ない。俺はタラオとは無関係人生を生きている。

から、ついていく必要はない。ついていってはいけない。

だが、万が一、億が一、とんでもない秘密だとしたら?

タラオのとんでもない秘密が待っていたとしたら?

そう考えていると男の姿はもう見えなくなった。

今になってはっきり思う。

俺は知りたい。

知りたくてたまらない。

タラオの秘密を教えてくれ。

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