2021-04-30

昔住んでいた学生寮には当番があって 宅配物を本人の代わりに受け取って保管しておくという 人力宅配ボックスみたいなことをしていたのだが

ある日 当番に入ると 寮に住む学生のひとりが バイク交通事故で亡くなったという電話が 寮長にかかってきた

そのときちょうど 宅配の人が来て 受け取った荷物は ちょうどその彼のために 親御さんが送ってきてくれた 仕送り段ボールだった

ことなく親近感のある 宛名の筆跡を眺めながら ただ呆然とする 親御さんが目の前にいるようで そして かける言葉もない気持ち

私はロボットのように その段ボールを いつもどおり棚にしまい いつもどおり帳簿に記録して 無念でしたねと その段ボールに 心の中で呟き

受け取り手を失って 迷子になったその気持ちを どうしようもできないまま そんな話は聞かなかったと 自分に嘘をつくことしかできなかった

ごめんなさい

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