そんな事を急に言われて信じる奴が居るだろうか?
だから俺はまず訊ねた。
「お前は誰だ?」とね。
わけがわからない。だが奴は、別の世界から来た俺と名乗る奴は話を続けた。
「この世界を救いたいなら、俺の言うことを聞け」
「はぁ?」
男は顔を伏せ、再び顔を上げると目が合った。
「……救えるかもしれない。だが、それもお前次第だ」
「俺が?」
「ああ、そうだ。俺の世界は駄目だったが……なぁ、おい。お前……といっても俺だが。……この世界を愛しているか?」
「そりゃ……もちろんだとも」
男はにやりと笑うとその姿は次第に薄くなり、蜃気楼のように目の前から消えた。
「……何だったんだ今のは」