2020-05-21

死の香りはその隣に

横断歩道ホームから見る線路エレベーターの扉の先、道路の真ん中、車道の先

私は、それを死が香る場所と言っている

何故なら、時間という位相がずれた隣の「空間」には、死があるから

そこにいれば、人間には確実に死が待っている

私が死んでいないのは、その時にそこに居なかったからに過ぎない

私の生と死を分けたのは、時間という軸の変数の違いに過ぎない

5秒前にそこにいれば、私はこの世界に居なかった

5秒後にそこにいれば、私はこの世界に居なくなる

たったそれだけの違いが、私をあっけなく(この世|枠組み)から追放する

時折、じっと死の香りが強い場所を眺める事がある

じっと、じっと、永くじっと、ひたすらその香りを、漂い移ろうそれを眺め続ける

そして、ふと考える、思い浮かべる

そこにいなかったのは、偶然に過ぎない

私の頭の中の一個の神経細胞が、一個の軸索が、一個の伝達物質が、一筋の電流が、発火が、発作が、偶然が

そよ風一つで揺らぐような偶然が、私の(死と生|死/渡世)を分けたに過ぎない

隣の世界には、死の香りに誘われた私が常に佇んでいる

それを忘れたことはない、(これまでも|これからも)?

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