傾いたビルの合間に映える、緑の合間で僕はそらを見上げる。
ひび割れた路上で寝そべるおじさんがあくびをして酒を煽った。黒いひげがよく動く。
海岸の海藻みたいになったみたいになった破れた服を着て、諦めたように笑うカップル。
野鳥が符丁を送り合いながら僕の視界を横切ってゆく。
野菜とれたぞ、という眼鏡のお兄さん。
バツの字を手のひらいっぱいに描くスクランブルの中心で、バザールが開かれる。
床に耳を当てて目を閉じれば、地下水の音。ここはもう長く持たないかも、と言う割に皆落ち着いている。
博多から歩いてきたっちゃけど、と遠い声が響く。そりゃ遠いねえ、と誰かが返事。
バーベキューの匂い。魚と野生化した犬の肉。楽しそうな宴の始まり。
スマホを気にしながら、地面を見て歩く人はもういない。
太陽の名のウィルス以降、人は明るくなったから。
Permalink | 記事への反応(1) | 01:32
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冠の名なんだよなぁ