絵がうまく描けるようになりたいと思い、絵がうまくなれる類いの本を買った。
人に習うのは無理だ。私のプライドは天より高く、星屑よりもろい。なので本から習うのだ。
円錐を描いてみましょう。
本から提供されるお題をやったりやらなかったりしながら数日かけてページをめくっていくと、そんな文言が表れた。
示されている手順通りに描き進める。段階が細かく別れていてわかりやすい。いい買い物をした。
輪郭をとり、円錐の曲面を表現するためえんぴつでしばらく紙を撫でていると、どこかで筆圧が強くなってしまったか、周囲より少し色の濃い曲線が生まれていた。消しゴムで消そうとしたが、なぜかうまく消えない。
どうしようかと暫し逡巡した後、その曲線を利用して人の目を描いた。
その瞬間本来の目的からは外れてしまったが、星のカービィ3の敵に出てくるような、一つ目おばけが誕生した。
私は自分にこんな発想ができたということに嬉しくなった。
高揚した気分のままその後もしばらく鉛筆で紙を撫でていた。