いつもの、人通りの少ない住宅街で
いつものように口論をしていた。
首を絞めるその瞬間愛した女を抱いた男の首を絞めているような感覚に陥った。
男に歯向かっていく子供は、男の闘志の片鱗を垣間見せてしまった。
そう、齢9歳の幼子は、母親の愛情を独り占めしているように見えた。例えるなら、目の上のたんこぶ。
取り除けば人生に障害はなかった。
人の命を奪う、禁忌に好奇心が後押しした。そうやって、遺体になった「我が子」。
力無く倒れ込んだ時には心臓が早鐘を打っていた。汗が額から滴り落ちる。
もうすぐ、あの人が帰って来る。
彼が刑務所に入るまで、あと一日を切った。
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