カエルの解剖をしていた。
自分の班は順調に解剖を進めていた、と思う。
記憶に残っているのは、別の班の解剖。
カエルには麻酔をかけた状態での解剖がデフォだったのだけど、何だったか、麻酔をかけていると出来ない実験があった。
それをやりたい班は、麻酔のかかっていないカエルを解剖しなくちゃならなかった。
氷水に漬けて動きを鈍らせてはいたが、カエルは暴れ続けていた。
数人がかりで抑えつけても、動きは止まらない。
多分、ものすごい力を込めていたのだと思う。
氷水の冷たさと、それから恐怖もあってか、ぶるぶる震えていた。
泣きながらうわ言みたいに、ごめんごめん、と呟き続けていたのが、どうしてか恐ろしかった。
結局、カエルの上顎をハサミで切り落として、それからどうなったのかは覚えていない。
麻酔をかけると出来ない実験が何だったのかも、実験は無事に完遂できたのかも、記憶にはない。
それだけは覚えている。
屠殺でも暴れてる家畜をバラすなんて、寧ろ怪我するし面倒くさいしやらんのに、なにが目的だったんだろう