平日の、ギュウギュウというほどではないが、そこそこ混み合っている電車内。
俺の前方でスーツ男性がドアに向かい合う形でスマホのパワプロ(だと思う)やっていた。その隣にはまたスマホを熱心に見つめているこれまたスーツの女性。俺はその少し手前で『きれいな旋律』(2007)を聴いていた。
スーツ男はゲームの雲行きが悪いのか、同車してる間に2、3度舌打ちをしていた。本当はもっとしていたかもしれない。隣のスーツ女がびくっとしてスーツ男を窺い見てるもんだから何だと思ったら、スーツ男の舌打ちだった。
なんて損なんだと思った。
この男は自分の舌打ちが横の人を威圧していることに気づいてないか、気づいていても気に留めていない。
この男は単に不機嫌なだけだし(それはそれでいい)、その隣の女の人も単にツイてないだけだった。
ターミナル駅につくと、二人とも降り、別々の方向に歩き出した。