2018-03-30

[]大きくて腐りかけの桃 その2

むかしむかし、あるところに桃太郎がいました。

ある日、桃太郎が川へ洗濯に行くと、川上から「どんぶらこ、どんぶらこ」と大きくて腐りかけの桃が流れてきました。

桃太郎興味本位でそれを持ち帰り、割ってみると、中からおじいさんとおばあさんが出てきました。

おじいさんとおばあさんはすぐさま「助けてくれてありがとう。わしらは鬼退治に行ってくる」と言うや否や裸足のまま一目散に駆け出していきました。

桃太郎きびだんごを渡す暇もありませんでした。

 

次の日、桃太郎洗濯に行くと、川上から「どんぶらこ、どんぶらこ」と大きくて腐りかけの桃が流れてきました。

桃太郎は嫌な予感がしましたが、桃を拾い上げて中を割ってみると、中から昨日とは違うおじいさんとおばあさんが出てきました。

「おお、ありがとう。おい、ばあさん、さっそく鬼ヶ島へ行くぞ」

 

次の日もその次の日も、洗濯の度に大きくて腐りかけの桃が川上から流れてくるので、桃太郎洗濯をしに行っているのか桃を拾い上げに行ってるのかわからなくなってしまうほどでした。

「あー山で芝刈りもしなくちゃいけないんだけどな。それにしても鬼ヶ島って何だろう?」

 

その頃鬼ヶ島ではおじいさんが死にかけていました。おばあさんはおじいさんを守ろうとして既に亡くなっていました。

「く、くそう。これまでか…」

「じじいめ、覚悟しろ

鬼が金棒を振り下ろそうとした瞬間「待つのじゃ!」と声がしました。そこには違うおじいさんとおばあさんがいました。

「ふん。じじいとばばあが少し増えたくらいで何も変わら…」

「待たれい!」声の方を見ると、第三のおじいさんとおばあさんがいました。その後も次々と鬼ヶ島に異なるおじいさんとおばあさんが登場し、長期戦の末、数の暴力で老人たちは鬼を撃破しました。

 

金銀財宝を携えて帰ってきた1000人のおじいさんとおばあさんに圧倒され、桃太郎悲鳴と共に家を出ていきました。1000人のおじいさんとおばあさんはそのまま狭い家で末短く幸せ暮らしましたとさ。

めでたしめでたし

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