この品物を指すときにはつい「歯みがき粉」と言ってしまう。そうでなければ「歯みがきのチューブ」とか。親世代は子供のころに使っていたと言う。小麦粉みたいなのを歯ブラシにちょっと付けてみがいていたのだと。だからチューブ入りになってもつい「歯みがき粉」と言ってしまい、それが俺にも伝わったのだろう。
品物を見ると「tooth paste」とある。ペースト、練ったもの、粉をねりねりしたやつ。ああそうか、練り歯みがきとも聞いたことがある。練り歯みがき、うん。正確には「練り歯みがき粉」とでもいうべきものを粉落としした。だから歯みがきという行為を練る、なんて妙な言葉になってしまった。これはちょいとおさまりが悪い。だから「歯みがき粉」とか「歯みがきのチューブ」とかいう用いられかたをするのかもしれない。この「歯みがきのチューブ」なんて表現もへんてこりんなものだが……