ある程度覚悟する期間があって、「よく頑張ったねぇ」「大往生だねぇ」と終始和やかな雰囲気だった。
久しぶりに会った人同士が、弁当をつつきつつ、ついでに骨も拾うか〜ぐらいのノリ。
祖父の人柄かもしれない。
でも、私は泣きわめきたいほど悲しくて、それを表に出せないのがすごく苦しかった。
祖父の死に顔は、生きてる時とは全然違って、気味が悪くて、マネキンみたいで怖かったのに、親戚のおじさんに
「やあ、安らかな顔してるねぇ」
なんて言われて、母も
「ええ、ほんとうに」
なんて言ったりする。
その横でビールを注いだりしていると、悲しい悲しいって思うのがひどく場違いなような気がして、そんな雰囲気がすごく気持ち悪かった。
別に参列者が祖父や遺族のことを蔑ろにしているわけじゃないってことも、祖父が涙涙のお葬式を望んでいないことは理解している。
けれど、参列者がみんな、悲しさを隠してニコニコしているのが異常だと思った。
自分の両親が死んだ時、「和やか」なお葬式だったらもっと苦しいだろうと思う。
母ぐらいの年齢になったら、割り切れるんだろうか。
よくわからない。
私が気づいていないだけで、「和やか」だったお葬式の後、母がちゃんと悲しみを発散できていたらいいなぁと思っている。