案の定Amazonレビューは大荒れのようだが、個人的には「アイアムアヒーロー」というタイトルに綺麗に着地して終わったなと思う。
1巻のあの情けない英雄は最終巻に至ってもなんの進歩もなく当初の英雄のままであり、そんな彼が孤独に惨めに生き続けることこそが生き残った人々に安寧をもたらし未来への希望(島の子どもたちに象徴される)となる。英雄はダメ人間であり苦しみ続けるがゆえにヒーローである、と。
陰鬱で苦味のきいた終わりかたではあるが、同時に比呂美の「生きて」に残酷さとともにほんの僅かだが救いも感じ、一筋縄では消化できずに心にずっとしこりを残す忘れられない作品になりそうだ。