子供のころ、自分もいつかは死ぬということに気がついて、夜眠れなくなったりしたことないですか。
きっと人類全体も、その長い進化の歴史のどこかで自分たちの「死を発見」したと思うし、その恐怖をどこかで克服してきたんじゃないか。今そこで他人が冷たくなって動かなくなったのを見て、それを自らの宿命として理解できる精神を土台に、宗教が生まれたり、物語が生まれたのかもしれない。
死の発見は個の萌芽と同期していて、それらを包み込むようにしてヒトの社会は成り立ってきたのかなあ。隣を歩いている奴がいきなりバタッと倒れてそのまま全く動かなくなることに対して気にも留めずに暮らす様子を想像してみれば……そこには社会も何もない。
人類史の大部分において「死」は発見するまでもなく日常茶飯事だったんだけど。