でかい糞が出そうだった。だが、中々出なかった。
糞は穴から顔を出すと、すぐに引っ込んだ。何度も出戻りする糞を通して、外気の冷たさが染み込んできた。
まるで出そうという意思そのものを否定するかのような糞との綱引き。戦いは一時間か、あるいは一日ほど続いたように思う。それはそのときの糞と俺にしか分かり合えない完璧に充足した時間だった。ケツ穴は燃えているように熱く、穴はしびれていて、全身から汗が噴出していた。それでも何事にも終わりはやってくる。
それは突然だった。ボチャンッというトイレで鳴ってはいけないような音がして、そいつは俺から出て行った。
標準60W電球さながらに肥えた糞だった。子供の握りこぶしよりも十分に大きかった。
やがて俺は糞を流した。
まだうまく感覚が取り戻せないアナルの両脇で大地を踏みしめている俺の足は、さっきまでと何も変わらないが全く別の世界へと歩き出していった。ここにアナニーの伝道師が生まれた。