かわいがっていた猫が12歳で死んだ。
ひとしきり弔った後で、猫を裏の公園へ埋めに行こうとしたら
ネットで調べてみると猫は肉が少ないけど、食べれなくはないらしい。
さっそく解体することにした。
タブレットを見ながらの解体作業だったので思っていたよりも困難だった。
文化包丁も脂がついて切れなくなってきた。
とひとり納得した。
それはさておき猫肉である。目の前に普段は焼きそばを盛り付ける皿の上に今は猫がもらている。
父にどうやって食べるつもりだったのかと聞くと。
「そりゃお前、鍋にしようじゃないか」というので鍋で煮ることになった。
さっそく猫を鍋で煮てみる。結構アクがでる。
すくってもすくってもアクがでるのでどうしたものかと父に問うと
「永遠にアクがでるなんて聞いたことがないよ、煮続けなさい」という。
ひたすら煮るがアクは出る。
父も私も30分が我慢の限界だった。
「食べますか」
「食べましょうぞ」
親子で鍋をつつくのも久しぶりだ。
この暑い夏に汗をかきながら猫をつつくことになるなんて、
昨日のわたしでも想像できなかった。
一口たべる。もぐもぐぐ。猫の味がした。
「猫だな。こりゃ」と父。
「ああ、猫だよ」と私。
何故か父と私は泣いていた。
はじめての猫鍋はしょっぱかった。