とても仲が良く、お互いのことはなんでも知っていると思っていたのだが、セックスをして初めて知ったことがある。
彼は、正常位のとき、顔が小藪に似る。
そんなこと知る由もなかった。
彼は、重力に負けると、顔が小藪に似る。
そんなこと知ろうとも思わなかった。
セックスの後、行為を謝られ、ずっと好きであったこと、恋人になりたいのだということを告白された。
私も彼にはずっと好意を持っていた。
しかし、私の脳裏にはついさっきの小藪がいた。
目を閉じてキスをする小藪。
乳首を口に含み、上目遣いで私を見つめる小藪。
よがる私を見ていたずらに微笑む小藪。
消えそうな声でゴメンと呟き絶頂に達する小藪。
目の前に座っているのは、ずっと好きだった彼のはずなのに、私は ちょっと考えさせて と答えた。
彼は、少し落ち込んだ表情で そうだよね、急にごめんね と言った。その表情に、小藪の影はなかった。
ああ、彼は、ほんとうに、下を向いた時だけ、小藪になるんだなあ。正面を向いていれば、Kis-My-Ft2あたりにいそうな顔なのに。
小藪の存在を知らなければ、彼が小藪に似ていると思うこともなかった。
しかし、小藪達は悪くない。
そして彼も悪くない。
たぶん私も悪くない。
誰も悪くないんだ。