わたしが一人でこたつに入っていると母が入ってきて、足を私の足に擦りつけてくる。
足の裏でわたしの足を撫でさする。
気持ち悪くてたまらないので、わたしは母の足が届かない位置に逃げるんだけど、それでも追ってくる。
そして足でサスサスと私の足に触れてくる。
意図がわからないし、娘に対する母なりの親愛の発露だとしても、やりかたが気色悪いので受け入れられない。
母は最近ひんぱんに老後の話をしている。
家系病のリューマチが出てきて、身体の衰えに不安を感じたようだ。
そして、ゆくゆくは私に介護して看取ってもらいたいらしい。
昔あんなに私を疎んで蔑んで軽んじて、私がいくら愛されようと努力しても冷笑して、何度も何度も暴言を吐き、
かわりに不出来の弟ばかり無条件に溺愛して、わざと差をつけて育てたくせに。
今更、文字通り擦り寄ってきたところで、もはや嫌悪感しか沸かない。
今更、「やっぱり老後のことを考えると娘がいるのは心強いわ」なんて言えた口じゃないだろう。
失敗した失敗した、なんで女の子なんか生んじゃったんだろ、うちにはいらないのに、何の役にも立たない…と毎日言ってたのと同じ口なのに。
さっさと家出たら?
他人の過ちを許せないのならば、 適切な距離を保ち、己の成熟を待つしかあるまい。
母親は「なんだかんだで私の事が心配だから一緒にいてくれてるのよね」「出ていかないって事は私が大事だからよね」って勘違いしてそう。 さっさと家を出た方がいいと思う。