高熱となり、かなり危険な状態から一命を取り留めたがいつ急変してもおかしくなかった
孫や子供夫婦がぞろぞろと面会にくる
それを見て、自身の先がもう長くないと薄々気づきながらも気丈に振る舞い
面会時間はずっと話をし続ける
一般常識的に彼女は十分に長生きであり、孫にも恵まれ、世間話や思い出話をするぐらいには頭は冴えていて途轍もなく幸せであるはずだ
しかし冗談でも言おうと思っていたはずの口から”こんなにみんなが会いに来るなんて私死ぬのかな”と隠せ切れない死への恐怖が、漏れ出してしまう
面会時間が終わり、再び部屋はカーテン越しに聞こえる細い呼吸と心電計の音に支配される。
視界のほぼすべてを壁と木々が覆う窓をただ見つめる彼女は何を思っているのだろうか
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