2021-03-05

幽霊の正体みたり

十代半ば、実家にアレコレが起こり、数年で家を失うことが確定していた。

実家はそれなりに商売成功しており、数年前に家は建て替えられ、わたしには念願の自室が与えられていた。

自室には天窓があり、屋上への出入り口があり、屋上からは外に降りる階段も設置されていたので、ここぞと自由謳歌していた矢先。

両親は怒声を上げながら責任押し付けあう喧嘩をし、子どもたちは仲裁をしながら泣いた。

この頃、わたしは眠れなくなった。明け方頃にやっと眠れたと思うと、一瞬で目覚ましベルが鳴った。授業中も意識朦朧とし、学業の成績は下がった。

眠れないと、夜の時間は長い。布団に入ったまま、天窓から何も見えない空を眺め続けた。

そうしていると、キシッ、ピシッ、と階段が軋むような音がする。

パキリ、カリッ、と窓に何かが当たるような音がする。

そうしてついには金縛りにあう。それまでに体験したことのない現象に、わたしは恐怖した。これはもしかして心霊現象怪奇現象、そういうものに襲われているのではないか、と。

自室を失ってしばらくすると、そうした現象は収まった。一家それぞれのベッドルームはなくなり、すぐ隣で家族の寝息が聞こえた。煩かったが、金縛りよりはだいぶマシだった。

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