デカパイダーマンは自室で何者かと揉み合いへし合い、まさぐりあったまま地面に落下したと言うのが検死結果だった。
彼女をずりネタにしていた我々ヒーローたちは彼女の死を悼んだ。
50絡みのブロンドの女だった。
近親者には子供もおり、仕事の交流しかなかった我々は彼女の家庭的な面に驚いた。
そのデカパイから繰り出されるビンタや体当たり、色仕掛けはニューヨーク市民の股間を鷲掴みにし、ペプシやホットドックプレスの広告塔も務めて一斉を風靡した。
ファンへのサービスも厚く握手会やデカパイ上映会、ファン感謝祭バスツアーなどサービスも豊富で、言わば80年代を彩るデカパイだったのだ。
葬式に参列したオウルマン、オウルシャッハ、フクロート製薬などのヒーローたちと思い出を語り合ったが、全員がデカパイダーマンは自分に好意があったと言って聞かない。
デカパイから母乳を噴射する「デカパイダービーム・スラッシュ」を何度も浴びてきたミルク臭い仲であるところの我々にも、彼女について去来する様々な思いがあるようだった。
一点気になるのは、高層階からまさぐり合いながら落下した相手が落下後に事件現場から立ち去ったと言うことだ。並の人間にできることではない。