20歳の誕生日を迎えた。
バイト先で仲良くしている女の子からプレゼントをもらった。
異性から誕生日プレゼントを贈られたのは生まれて初めてだ。
家路を歩く私の体からは幸せが滲みだし、足跡がアスファルトに虹色のしみをつけていても何らの不思議はなかった。
家に帰ると父がテレビを見ていた。
「プレゼント、もらったのか」
「ああ、バイト先の子から」
こたえながら、彼女の神聖さを売ってしまったと悔やんだ。
包装紙を破らないようにそっとセロハンテープをはがしていった。
中身は日本酒とチョコレートだった。
今春には東京へ引越してしまうから、これはとっておいて、引っ越し先のアパートで飲み延ばそう。
ごみは捨てるかどうか迷った。
彼女が贈ってくれたものを他人の手に任せてしまうのは許せなかった。
たとえそれが家族であろうとも、市の職員であろうとも。
大風が吹いている。
人気のない土手で、私は包装紙を焼いた。
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