昨年の秋、バーで知り合った人と付き合って、その年の終わりに別れた。
好きになったのは私。別れを切り出したのは彼。
初めてセックスした翌日に別れをつげられた。
あ、漫画とかでよくある展開だけれど、こういうことってあるんだなって思った。
別れを告げられた時は泣きながらも別れを受け入れられたものの、
後日、どうしても会いたくなって「会いたい」と連絡した。
先週末、彼から「バーで会おう」とラインが来て、迷ったものの会うことにした。
会う前は緊張したけれど、意外とテンポよく話が続いた。
「別れたあとに喧嘩したことは覚えているけれど、全体的にあまり覚えてないや」
そう言って彼は笑った。
わたしはあんなに覚えているのに。
「セックスの相性、正直よくないっておもったんだよね」
「俺と釣り合っているって思ってるの」
「頭が悪いよね」
こんな風に人から攻撃的な言葉をもらったこと、今までの人生でなかったからかもしれないけれど
喧嘩の内容も別れたという事実も、自分の中で消化するまですごく時間がかかって
忘れることなんてできなかったのに。
彼と出会ったバーだって、思い出してしまうのが怖くてなかなか近づけなかったのに。
あの人は、ただ「覚えていない」と。
そして、それを私に笑って伝えられちゃうんだ。
お前は4ヶ月前に食べたパンの味を覚えているのか