ずっとこのパン工場で働いてきて、最近ようやく工場長にまで昇格した。
もし工場で何か問題があると全て俺の責任だ。この重圧、ハンパねーぜ。
勤めはじめてもう35年っつーとこだ。特に大きな問題もなく、こうして工場長にまで
還暦近くなって言う台詞でもねえんだがよ、最近、恋をしちまったんだ・・・。
へっ、笑っちまうだろ?この白髪のジジイが、恋とか言ってんだぜ?
でもよ、自分の心に嘘はつけねえんだ。
ずっと独身でパン工場一筋でやってきて、この立場まで上り詰めて、
あと少しで定年。だのに、この年でこの立場で、恋なんだぜ?
その恋の相手だが、最近この工場に入ってきた「バタコ・カサンドラ・エミリア」、24歳だ。
若えだろ?俺と30以上も離れてやがんだ。
正直、顔が美人だとか端正だとか、そういうんじゃねえ。
言葉はわりいが本当に平均レベルの顔で、ちょっと面長で団子っ鼻な感じだ。
だがよ、そこじゃねえんだよな、この歳になっちまうとな。
尻なんだよな。尻。さいっこうの尻を持つオンナなんだよ。
オーバーオールから突き出たサイコーのシリがよ、俺の目の前にぐいぐいやってくるんだ。
ぐいぐいとやってきた魅力たっぷりのサイコーのケツがよぉ、工場長生命を脅かしてくるんだぜ。
まさかな、この歳でサイコーのシリに出会うとは思ってなかったぜ。
神よ、おめえも知ってるだろうが、世界中のパンを集めてきても、
そうさ俺は恋に落ちている。そして同時に憂鬱な気持ちにもなっている。
恋は激しく興奮をもたらし、そして同時に憂鬱をもたらす、。
憂鬱じゃなければ恋じゃねえ、なんつってな。
俺の人生のパンは、きちんと焼きあがんのかな。な。