2010-08-14

イギリスの王立ホメオパシー病院に通院して10年。

ホメオパシーについての最近の記事を読んで、日本ではカルト療法とまで呼ばれていると知った。

人が死んだり、患者が狂信的だったりで、あまりにもひどい。カルトといわれても仕方ないと思う。

長年イギリスホメオパシー病院治療を受けてきて、そういった印象を受けたことがないので、私個人の経験を語ってみようかなと思った次第。あくまでも私の行動範囲内で素人視点です。(子供の頃にイギリスに移住して30年近く。日本語を書く機会があまりないので不適切な表現があったら申し訳ない。言葉が足りないところは指摘して下されば補足します。)

私の通っているのは王立ホメオパシー病院受診するには地域の受け持ちの医師に紹介状をもらう必要がある。(この国では自分地域医者に登録し、 どんな病気でも救急以外はその医者にまず見てもらう。必要であれば専門医のいる病院に紹介される。)ちなみに私は通常医療の専門病院にも通いつづけていて、現在地元医師専門医ホメオパシー医の3点を行き来している状態。医師同士の連絡もできている。

王立ホメオパシー病院はNHS(National Health Service)の一部なので、他の病院と同じく診察費は無料処方箋代のみを支払う。この病院ホメオパス医師免許を持っていて、通常の医師としての勤務経験がある。今までに受け持ってもらった医師達はホメオパシー通常医療を補助する形で行うもの(Complimentary medicine 日本語で?)で、医療の代わり(Alternative)ではないという立場をとっている。私はホメオパシー病院血液検査を定期的に受けているし、専門病院で処方される薬も続けている。

私の場合地元担当医が紹介してくれたので王立病院にいくことになったが、個人経営のクリニックに自費で通っている人も多くいるはず。個人経営ホメオパシークリニックにはいったことがないので詳しくないが、診察料は安くはない。そして医師免許がなくてもホメオパス資格があれば開業できると思う。別にクリニックにいかなくても、全国にチェーンのある大衆向けの薬屋でさえ基本のレメディくらいなら揃っているし、自然食品屋でも買える。

ホメオパシー病院で処方されるのはホメオパシーメディだけではなく、ハーブ系の製品クリームやオイルなど)、通常医療の薬(抗ヒスタミン剤、消炎剤とか軽いステロイドとか)が出されることもある。病院内には栄養士マッサージ師がいたり、痛み専門クリニックや、瞑想クラスがあったりもする。

詳しくは書かないが、私の病気子供の頃に発症し、完治しないとされていて、西洋医学漢方民間療法いろいろ試してみたが良くなることはなかった。ホメオパシー病院に通いはじめても数年は何も変わりがなかったし、聞こえはよくても実際に効果のない治療には慣れていたから、大きな期待や失望を抱くこともなかった。専門病院での治療は今まで通り、症状を抑えるため薬を処方されるが、薬に慣れてくると効果がなくなるため、新しい薬を処方されることの繰り返し。

そのうちにホメオパシー担当医が変わった。完治しない病気だということを受け入れて、この病気と共に生きるにあたって、どうすれば痛み(肉体的、精神的)を少なく、少しでも楽に生活することができるか考えてみようと提案された。それ以来、診察中の会話は私がどのように病気に向き合っているか、に重点がおかれた。

同じ症状でも気丈な時と死んでしまいたい時があったりして、そのムラに合わせてレメディーや薬が処方されたが、医者および医療をあまり信用していなかった私にとって正直に打ち明けることができるまでに随分と時間がかかった。痛みの具合とそれに伴う精神状態などを細かく聞かれる経験は今までになかったし、そういうことに医師が興味を示すこと事態初めてのことだった。そうするうちに少しずつ病気とのつきあい方に変化が出てきた。

長い経過は省略するが、10年経った今、比較的症状が軽い状態を保つことができるようになっている。およそ30年以上この病気と生きてきた私と家族にとって、想像もつかなかったほど温和な状態であるといえる。私の場合、この医師に出会えたことが大きな転機で、その医師がたまたま王立ホメオパシー病院に勤めていたということなのだと思う。だから私の経験談をもってホメオパシーに効果があるとはいえない。

だが、現在イギリス医療システムでは医者患者とじっくり話す時間などない。診察時間約5分のうちに、てきぱきと処方箋を書かなければならない。たとえ素晴らしい医師がいたとしても、有意義な診察時間を持てる可能性は残念ながらないに等しいと思う。

ここまで書いて、このエントリーを見かけてなるほどと思った。

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20100812#p1

  • それ、カウンセリングでしょ ポメオパシーである必然は何も無いでしょ

  • 増田さん、興味深いお話ありがとう。たぶん、王立ホメオパシー病院の主治医は、ホメオパシーのレメディが単なる砂糖玉に過ぎないことを理解している。こういうホメオパシーの「有...

  • でもさあ、イギリスでは運用ができてるってだけでニセ科学であることには変わりないんでしょ ニセ科学批判的には同じことじゃないの

    • 「ニセ科学」「似非科学」という言葉は良くないのかもしれない。 http://anond.hatelabo.jp/20100814113430 勘違いしている人が多いのだが、科学ではないからニセ科学というわけではない。科学...

      • 科学ではないからニセ科学というわけではない。科学の名を悪用するからニセ科学なのだ。悪用は悪いことであり それならニセ科学とか紛らわしい言葉を使わずに普通に消費者運動す...

        • 疑似科学批判とかややこしい専門用語や一部の人しか通じない単語続出でああいうのにだまされやすい科学リテラシーの低い人に余計に通じにくくなってるように思う。 騙される人は科...

          • 国民がマスコミに扇動されるのが多数派である限りは、何を論じても無駄かと

          • 「ニセ科学」というのはキャッチーなコピーであり、「ああいうのにだまされやすい科学リテラシーの低い人」にも、それなりの効果があったんじゃないかな。消費者運動も、それはそ...

            • キャッチーなコピーじゃないし、まともな効果はないんじゃないの、という指摘かと

            • 「ニセ科学批判は自己満足。世の中に何の影響も与えていない」とか言ってるニセ科学批判批判をしている人のほうこそ、自己満足で何の影響も与えていないよね。 それこそ「どちら...

    • イギリスの穏健なホメオパスも、「ホメオパシーは科学的にも効果が確認されている」「波動が…」「量子力学が…」とか言ってんの?だったらニセ科学だし、ニセ科学批判の対象にな...

  • 増田さん、興味深いお話ありがとう。たぶん、王立ホメオパシー病院の主治医は、ホメオパシーのレメディが科学ではないことを理解している。こういうニセ科学の「有効な利用法」を...

  • イギリスのとあるテレビ番組のショートコーナーより。 ホメオパシー救急病棟 http://www.nicovideo.jp/watch/sm11404088 イギリスでのホメオパスの評価なんてこんなもんだよ。

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