2009-05-16

世襲制

国政を担う者が地域利権代表に堕してしまうのが多選の弊害であり、世襲は多選の一形態に過ぎない。本来ならば多選を規制すべきであるのだが、国替えはしたくないので、世襲規制する事で多選禁止の骨を抜こうという狙いであろう。と、同時に、選挙が終わったら世襲禁止も骨抜きにするという展開までありえる。非世襲議員と言えども、地盤を固めた後は自分の直系子孫に世襲をしたいと考えるであろう。そういう人情に訴えかけて黙らせれば済む。

中央省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局構想は、政治中央省庁の幹部人事に介入するという事である。課長級くらいまでは省庁内の純粋培養で恥を晒さないように教育する必要があるだろうが、それ以上は、政治任命によってでしか上がれないという制度を作り、官僚政治家が使えるようにするという構想である。と、同時に、働いてくれた官僚には、相応の身の振り先を用意しなければならない。それは、当然、自身が政治家になるという事である。政治家官僚よりも上になるというのであれば、官僚から政治家へと進むのが、当然の進路となるし、どこの馬の骨ともわからない政治家に使われるくらいならば、事務次官まで勤め上げた官僚出身議員に使われた方がマシとなる。

その為には、落下傘候補を定期的に押し込める選挙区を作らなければならない。多選規制は、その為の手段である。内閣が変わる度、大臣が変わる度に、議員候補が生まれてしまうのだから、それを押し込める先を作らなければならない。死ぬ前に一度でいいから大臣になりたいと、無責任ポストのばら撒きをやめさせる効果も期待できる。

世襲を制限するのでは、引退する議員の後釜にしか落下傘候補を押し込めないという事になるし、議員秘書への地盤の譲渡世襲ではないという理屈で、後釜に押し込む事すらできなくなりかねない。これでは、官僚の身の振り先は今まで通り天下り先という事になり、国家の為に働く官僚は出てこない。省庁の傘下に天下り先を作り、そこに天下る為に、省利庁益の為にしか働かなくなるのである。埋蔵金を削り、天下り先を削るならば、その代りとなる場所を作らなければならない。

知事よりも少ない支持しか得ていない人が首相になるという事に矛盾を感じないという現実把握能力の欠落を問題にしなければならないのであろうか。

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