【第二十 選将篇】
武王が呂尚にたずねた。
武王「すぐれた人物を選んで将に任命したいと思うのだが、人物を見極める方法を教えてほしい」
呂尚「外見だけで判断してはなりません。外見と中身の一致しない場合があります。世間の人々が軽蔑する相手でも、聖人だけはその真価を認めるのですが、 凡人にはそのあたりの機微はわかりません。深い洞察力があって、はじめて見抜くことが出来るのです」
武王「どうすれば見抜くことが出来るのか」
第五に、財貨を管理させてみて、どの程度清廉であるかを観察します。
第六に、女を近づけてみて、どの程度貞節であるかを確かめます。
第七に、困難な任務を与えてみて、どの程度勇気があるかを判断します。
第八に、酒を飲ませてみて、その酔い方を観察します。
組織内政治、ゴマすりばかりが上手な人物が出世することになれば、実務能力があり判断の優れた人物が無能な人間の指揮下に入ることになり、前線の混乱と敗北は避けられない