貨幣中立性はフローの観点では理論的に成り立つことがあるが、ストックの観点では影響が異なり、中立性が崩れると考えられる。
この点について整理すると、以下のような理由で貨幣の中立性がストックにおいて成り立たないと言える:
インフレ時には、貨幣の価値が低下するため、名目額が固定された債務の実質価値が減少する。このため、債務者にとっては有利に働く。
一方、デフレ時には貨幣価値が上昇し、実質債務が増加し、貨幣価値が増加するため、債務者に不利であり、債権者に有利である。
このように、貨幣供給の変動がフローよりもストック(資産・負債)に対して異なる影響をもたらし、資産分配や購買力に偏りが生じるため、貨幣の中立性が成り立たない。