彼は投票所で担当者に投票引換券を渡すと、名前を呼ばれたのでとても驚いた。
彼の名前は漢字の読み方がひねくれているので、彼は普段は、通りの良いほ読み方で通している。だからわざと記名にフリガナをせずに渡した。しかし担当者は難読のほうの名で読んできたのだった。
つまり担当者が見ているパソコンにはいっている投票人リストの名には、フリガナがふってあったのだ。戸籍にも載っていない、彼が登録した覚えもない、彼を殺そうとしていた親が勝手にどこかでつけたのであろうフリガナが。彼は怒りを覚えた。彼はその名を登録したくないがために、結構な収入がありながら、証券口座も持っていない。
彼は投票場を出てから振り向いて唾を吐いた。
Permalink | 記事への反応(0) | 21:38
ツイートシェア