いわゆる「中年の危機」ってさ、愛への疑いなんじゃないかと思ってる。
自己愛についての疑いであり、他人からの愛への疑い。自分は自分を愛せるだろうか、他人は自分を愛してくれるだろうか、愛され続けることができるだろうか。
実際のところ、家族や友人からのある種の愛が希薄になるタイミングでもあるし、愛される存在であると言い張ることも難しい。愛される存在としてではなく、他人に愛を与える存在になっていなければならない年齢であるから。
ただ、やっぱり、与えるだけの存在になれるかと言うと難しくて、与えられたい。まだ愛されたい。そういう社会と個人、他人との間のズレや軋轢が、中年の心の危機ということなのかもしれないと思う。