2022-02-16

人間にとっての時間とは記憶と期待のことだ。それらを欠けば時間人間にとって抽象的なものにすぎなくなるだろう。

過去〉はもどらないし〈未来〉はまだこない。わたし存在しない〈過去〉の記憶と〈未来〉への期待とでもって〈いまここ〉をサンドウィッチにして味わっている。ところで、この〈いまここ〉とは何かというと、時間をすっぱりと裁ったその断面に違いなく、つまり厚みがない。とすると人は、〈過去〉と〈未来〉というここに存在しないパンでもって〈いまここ〉という厚みのないハムを挟んでいるということになる。だが厚みのないハムに味などあるのだろうか。あるのだろうか。あるのだろうか。ひょっとしてないんじゃないか。思い返せば、瞬間には味がない。過ぎ去ったその残り香に、わたしは貧しくも酔うにすぎないのだ。

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