2020-03-12

可哀想な人

はいま不幸せだ。

いや、今というよりずっと前から苦しんでいる。時を追うごとにその苦しさは強さを増す。彼もそれには慣れた。ただ気づかないようにしていた。それでも少しずつ確実に彼は自分を消していくことで生きてきた。

輝く光にはその分強く影が出来る。それが彼だった。

彼は苦しんでいる。彼は自分自身の作り上げた世界否定する人々と闘い続けてきた。

他人には見えない世界でずっと孤独だった。

受け入れてもらえないから息を殺した。

他人否定する事で何とか自分のかたちを保とうとした。他人否定した分だけ自身分身がお前はどうなんだ?ってほくそ笑んでいる。

彼は努力が嫌いだった。

悪いのは環境のせいにして怠けた。

それが無意味な事だと気付いたのは若くない年齢になった頃。

彼はもうどうにもならない引き返せない一度きりの人生を生きていることに絶叫した。

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