去年のお盆の頃、俺は久しぶりに親戚の集まりに出た。会えるかなと楽しみにしていたいとこは誰も来ず、爺さんばかりの輪の中に俺はいた。特に共通の話題もなく世間話も好きではないので俺の近況の話になった。トルコ旅行を翌週に控えていたのでその話もしてみようかと思った。
「来週トルコ行くんです」
そしたらものすごい微妙な空気になった。隣にいた伯父が小さく首を何度か振った。そこで気付いて、ああ、と思った。この人たちは未だにトルコ=ソープランドなのだ。
トルコ風呂の名前の由来は知ってる。思い出してこの文を書いているのも、ジンギスカンの話題を読んだからだ。ただその名称って、俺にとっては知識でしかない。でも彼らには今も生々しい言葉として伝わるのだ。一般名称が変わっても、染み込んだものはなかなか変われないのだなと思った。