2019-01-04

16の頃24の女と住んでいた。ほぼ毎日目が醒めるのは必ず掛け布団の中、足元の方にがさがさ動くものを感じるからだ。彼女は私がまだ寝ていると思っていたが、本当は何か始まる前に起きていた。眠りが浅いからだ。私は目覚める頃合いを見計らった。眠たげな目の開け方と、遅れてやってくる驚きに跳ねる肩と手指の仕方を学んだ。ひょうきんな少年ではなく、私は若く、彼女を笑わせなかった。迷惑そうな口元を表して、抱きしめると喜んだ。私の人格は若く、立て付けがなっていなかったので、彼女はよく怒った。夜着のままトイレへ駆け込むとそこを自室のようにして、鍵の内側へはてなく閉じこもった。ほどなくして髪を抜く音がすることがあった。私は靴下を履くとドアの前まで音もなく歩き、思わぬ筋肉ばかりに力が入るので歯の根が震えるのを感じた。彼女そばで体を押し固めた。そうすると不思議と鍵は開いた。ノブを押し下げるのは私の役目だった。彼女は必ず明るいタイルに目を落としている。便座の蓋を下ろし、その上に座っている。

ごみを出さなきゃ、と女は言った。乱暴に紙を巻きとると、口元に入り込む黒い涙のあとを拭いた。ごみ、ある?と腫れた目が私の向こうを見た。とても謝れなかった。とても抱きしめられないと思った。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん