ハンドルネームに由来があった。
でも俺がその名前を名乗るよりも前に、既にそのネタを有名人が使っていたことをある日知った。
俺だけが持つ俺だけの物だと思っていたものにはベッタリと手垢がついていた。
ショックだった。
もしも俺がこのさき有名になって、ハンドルネームの由来を語っても「有名人のAさんのファンなのね」という扱いにしかならないだろう。
平凡な本名などとは違う、正真正銘のIDだと信じていたものが無くなった。
名も知られぬ誰かでありながらも、唯一無二たる己を意味できる名を持っていることだけが誇りだったのにそれは最初から存在しなかったんだ。
俺は……誰だ……。
お前は誰だと毎日鏡に問い続けると自己意識がはっきりしてくるようですよ
お前は平田だろう?